前回の振り返り
- テストバッテリーとは一人の人に対して複数の心理検査を実施することである。
- テストバッテリーする理由はどの心理検査も一つでは限界があり、検査を受けた人を多角的視点でとらえることが可能となる。
テストバッテリーをすることで大切なこと
心理検査を実施する目的を明確にする
様々な心理検査を実施することで、その人のことがわかります。10個の心理検査をしたら10個分の本人理解となります。しかし、クライエント(相談者)の全てを理解することが目的でもありませんし、たくさん実施したからといってその人全てを理解することはできないでしょう。そのために、何に困っているから心理検査をするのか(主訴)が必須になります。例えば、発達障害特性の有無であればWAIS、AQ、PARSを実施しても良いでしょう。
別の言い方をすると、同じ人に対する心理検査であっても、『人に自分の意見を主張できない、周りの人に理解されない』という主訴なのか、『発達障害の有無』が主訴なのかでテストバッテリーは変化します。
コストパフォーマンス(タイムパフォーマンス?)を考える
発達障害傾向の有無を正確にアセスメントするには、養育者からの情報提供が必須です。
当ルームは都内ですが、遠方にご家族住んでいる場合、情報提供のためだけに来室してもらう必要があるでしょうか。多くの人にとって新幹線や飛行機代やその時間使ってまでしないのではないでしょうか。オンラインでもできますが、自分の問題を両親に話す必要があることやオンライン設定をすることを考えるといかがでしょうか。また、学生時代の成績表を探すのはいかがでしょうか?
これは一つの例ですが、何をどこまでするかは大切です。コストパフォーマンスと書きましたが、今の時代でいうとタイパ(タイムパフォーマンス)が大切とも言い換えることができます。
コストパフォーマンスでもタイムパフォーマンスでも同じですが、それぞれの人によってモチベーションや求めるものも違うでしょう。もし、何十年も悩んでいて問題の原因理解や解決につながると思ったら、どんなに費用やお金を費やしても安いと感じるかもしれません。つまり、人によって何に対してどれだけ費用や時間を費やすのかの結論は異なると思います。
テストバッテリーのメリット・デメリット
メリット
- 情報が多くなる。
- 多角的な視点から理解できる。
- 本質的な理解となる可能性が高くなる。
デメリット
- 費用がかかる。
- 時間がかかる。
- 目的を明確にしないと検査数が多くなり何をしているのかがわからなくなる。
まとめ
テストバッテリーは多くのメリットもありますが、検査目的や費用対効果も含めて現実的に実施する必要があります。
目的だけでなく、予算、時間、身体的・精神的疲労など様々なことを考えて、検討することが大切です。
心理検査に興味のあるかたはカウセリングルームいちごまでご連絡ください。
特に徹底的にやりたい方は納得いくまでお付き合いできます。以上、一人の方に対して約10個の心理検査をして、医師用心理検査所見をワードで10枚書いたことがあるカウセリングルームいちごでした。