継続カウンセリングは初回面接で立てた方針に基づき、目標に向けて取り組む場面となります。この過程では、初回面接で立てた方針が変更される場合もありますし、達成された後に次の課題に取り組む場合もあります。
時折、初回面接である程度の方針が立てられても、生育歴上の情報収集が不十分でさらに数回の初回面接のように行う場合もあります。このような場合、初回面接で立てた方針が変更されることが多いでしょう。
初回面接後の継続カウンセリング
初回面接が終わると、継続面接が始まります。ここでは継続面接についての注意点をいくつか挙げます。
面接の頻度
多くの心理師が考える理想の頻度は、毎週同じ日時です。調子が良い時も悪い時も、雨が降ろうが雪が降ろうが、この頻度を保つことが推奨されます。理由として、毎週面接を行うことで、小さな変化にも気づきやすくなります。また、一定の頻度や時間にすることで、体調や主訴の変化が問題そのものの変化なのかが分かりやすくなります。別の言い方をすると、症状や主訴の変化を定点観測できるため、カウンセラーは問題解決のための介入がしやすくなります。
しかし、実際に毎週面接を受ける人は多くありません。理由は簡単で、お金や時間が足りないからです。日常生活の中で、仕事や家庭など様々な事情で思い通りに時間やお金を作ることが難しいのです。そのため、カウンセラーもあえて毎週の頻度を提案しないことが多いでしょう。
私は「どのくらいの頻度が現実的ですか?」「どのくらいの頻度でいらっしゃる予定ですか?」と質問することが多いです。クライエントにはそれぞれの日常があり、その日常を乱してまで「カウンセリングを最優先してください!」と言う必要はないと思っています。

調子が悪いとき
カウンセリングを継続していくと、調子が悪くなる場合があります。その際、カウンセリングを中断するのではなく、担当するカウンセラーと相談することが重要です。
なぜ、相談する必要があるのか?
大きく分けて、より改善するために一時的に悪化したように見える場合と、本当に悪化する場合があります。 より改善するために一時的に悪化したように見える場合、今まで何が起こっていたかわからなかったことが明らかになることで、受け入れがたい事実に直面することがあります。
例:
*両親やパートナーが完璧で素晴らしい人間だと思っていたが、実は悪い面もあった。
→ 「自分の親が自分を大切に育ててくれたと思っていたが、実際はそうでもなかった。」「完璧だと思っていた親が、完璧ではないことに気づいた。」逆に、「毒親だと思っていたが、家事はしてくれていたという事実や、無関心だと思っていた親が実は自分にどう接してよいかわからなかった」などがこれに該当します。
*子どもが大好きだと思っていたが、子育てにストレスを感じていた。
→受け入れがたい事実かもしれませんが、「子どもが好きだと思っていたものの、実際には自分のストレスの大半が子どもに起因していた。」「就寝前に考えていたことの多くが子どものことであり、恨んでしまった。」「子どもを恨んでしまったことに罪悪感を抱く」といった場合です。
特に、自分の子どものことをマイナスに考えることは、社会的な常識では受け入れがたい感情だと思います。そのため、自分が子どものことを重荷に感じていることを受け入れるのは難しいでしょう。
これらの事実を理解したとき、自分のふがいなさや、過剰に感じていたのではないかなど、様々な感情や考えを受け入れるのに時間がかかります。その結果、受け入れがたい考えに対する否定的な感情や思考が活性化されることもあります。
このような状況に直面したとき、一時的には体調の悪化につながります。しかし、そのことを自分で理解し、受け入れるようになると、以前よりも改善することがあります。カウンセリングでは、そのようなプロセスが行われることがあります。
クライエント自身が気づかない場合もあるため、たとえ今は大変でも、徐々に緩和していく過程となります。別の言い方をすると、膝を曲げずにジャンプするよりも、体をかがめて膝を曲げてジャンプした方が、高く跳べるようなものです。
本当に悪化した場合
カウンセリングの影響で本当に悪化した場合や、環境の変化により悪化した場合があります。カウンセラーも完璧ではありません。気づかずに状態悪化を引き起こしていることもあります。このときは、症状を伝えることでカウンセリングのやり方を変えることができます。
その状態悪化を理解することで、より隠されている問題の本質に近づけることも多くあります。ぜひ、悪くなったことを遠慮なく相談してみてください。
その他
今後良くなる過程であると理解できても、受け入れがたいタイミングがあると思います。社会人であれば、決算で忙しい時期、プレゼンテーションの準備中、就職活動中で体調を崩したくない、部署異動で大変なので控えてほしい、大学生であれば、就職が決まるまでは控えてほしい、資格試験が3カ月後にあるのでそれが終わってからにしてほしい、など日常的な事情があります。
次回は、毎週以外の頻度で利用する際に注意するポイントをあげます。
カウンセリングルームいちご(江戸川区葛西駅徒歩3分)