OCDについて——簡単な振り返り
強迫性障害(OCD)は、頭から離れない不安や考え(強迫観念)と、それを打ち消そうとする繰り返しの行動(強迫行為)が続く状態です。強迫行為をすると一時的に不安は和らぎますが、すぐにまた強迫観念が戻ってきます。この繰り返しのサイクルが日常生活に大きな支障をきたします。症状や治療法の全体像については強迫性障害とは①をご覧ください。
認知行動療法(CBT)とEX/RP
認知行動療法(CBT)は、OCDに対して最もエビデンス(科学的根拠)が確立された心理療法です。CBTの中でもOCDに特化した技法がEX/RP(Exposure and Response Prevention:曝露反応妨害法)です。
EX/RPとは
EX/RPとは、不安を引き起こす状況にあえて向き合い(曝露)、そのときに強迫行為をせずに不安が自然に落ち着くのを体験する(反応妨害)というアプローチです。
「怖いことを無理にやらせる」のではありません。不安の小さいものから段階的にカウンセラーと一緒に計画を立てて進めていきます。繰り返すことで「強迫行為をしなくても不安はやがて落ち着く」という体験が積み重なり、強迫のサイクルから少しずつ抜け出していくことができます。EX/RPを行うかどうか、どのタイミングで始めるかも含めてその方の状態に合わせて柔軟に判断していきます。

カウンセリングの流れ
① アセスメント(初回〜数回)
症状の経緯、日常生活への影響、困っていることをじっくり伺います。OCDの症状だけでなく、現在の生活全体の状況を丁寧に確認します。CBTやEX/RPは有効なアプローチですが、その方にとって今何を優先して扱うべきかを慎重に見極めることが、カウンセラーとして重要な役割のひとつです。例えば、希死念慮が高い人はOCD症状の理療の前に希死念慮の対応が必要だと思います。細かく言うと、OCD症状が辛くて希死念慮になっている人は、この両方をするべきでしょう。このように丁寧なアセスメントが必要になります。どのような順序で何に取り組むかは、アセスメントをもとにご本人と一緒に丁寧に検討していきます。
② 心理教育
OCDのメカニズムをわかりやすくお伝えします。「なぜ確認するほど不安が強くなるのか」「強迫行為が症状を維持してしまう仕組み」を理解することが回復の大切な第一歩です。
③ EX/RPの計画と実施
不安の程度を整理した「不安階層表」を一緒に作成し段階的に取り組みます。セッションの中だけでなく、日常生活の中での練習も重ねていきます。次回までの課題に取り組んでいただくこともあります。
④ 再発予防・終結
症状が改善してきたら今後も自分でスキルを活かせるよう整理し、カウンセリングの終結に向けて準備していきます。
カウンセリングの概要
| 項目内容 | |
| 対象 | 16歳以上の方 |
| セッション時間 | 50分枠/80分枠 |
| 回数 | 16〜20回程度 |
| 頻度 | 週1〜2回 |
| 形式 | 対面 / オンライン |
*症状の程度や生活状況によって個人差があります。
EX/RPに取り組むにあたって
EX/RPは、一般的なカウンセリングのような傾聴中心のアプローチとは大きく異なります。セッション外でも課題に取り組んでいただくなど、ある程度の時間とエネルギーのコミットメントが必要です。率直にお伝えすると、もし薬物療法で症状が改善するのであれば、時間的・経済的な負担も少なく、それが最善の場合もあると考えています。一方で、薬物療法だけでは症状が改善しない方、これまでの心理療法では効果を感じられなかった方、あるいは薬物療法以外のアプローチを希望される方にとって、EX/RPは有効な選択肢となると思います。
※本記事における「OCD」などの病名は、症状の傾向を示す表現として用いており、診断を意味するものではありません。診断は医師のみが行うことができます。
→強迫性障害とは③(コラム)—症状だけを見ていればいいわけではない—
カウンセリングルームいちご(江戸川区葛西駅徒歩3分)
北村哲也(公認心理師・臨床心理士)
